- ゴチソウサマと… -

                                                  7000hit 鬼龍院ハナコ様へ


石川の手料理を食べ終わった岩瀬は、とても満足そうに―

「悠さん、御馳走様でした!」
「はい。よろしゅうに。」

石川は微笑んでそう答えた―

「…あの…前から聞きたかったのですが…」
「なんだ?」
「その『よろしゅうに』ってのは…?」
「あぁ…。こっちでは言わないのか…。」
「そうですね…。あまり聞かないんで…で?」
「えーっと、確か『よろしく食べやがってこのヤロー』だったっけ…?」
「ぶっ!!…」
お茶を飲んでいた岩瀬が思わず吹き出す…
「汚いな…。」

―ゲホゲホ―
未だ、咳き込んでいる岩瀬の背中をさすりながら、石川は眉をひそめる…

「は、悠さん!? 今なんて?」
「え?『よろしく食べやがってこのヤロー』?」
「…なんですかそれは…」
「なんですかって…『よろしゅうに』の意味。」
「いえ…そうなんですが…。ていうか『このヤロー』!?」
「あぁ…。確か母さんがそう言ってたと…」
「お母さんが!?」
「…そんな驚くことか…?」
「いえ…まぁ…(普通、驚くだろう…)」
「俺も小さかった頃、聞いたんだ…。そうしたら、母さんがそう教えてくれたんだけど…」
そこで、石川は何かを思い出したのか、小さく笑う―

「悠さん?」
「あぁ…。そう言えば、父さんもそれを聞いて驚いてたな…って」
「そうなんですか…(そりゃそうだろう…あんな綺麗な奥さんが『このヤロー』って…)」
「で、母さんに『それは勘弁してくれ』って…。何でかな?ちゃんとした返事だと思うんだけど…」
「えぇぇぇぇ!?」
「…だから。何でそんなに驚くんだ…?」
石川は岩瀬が驚いている事がサッパリ解らない。と小首をかしげる。
それを理解できない岩瀬は更に首を傾げるしかなく…

「いえ…その…」
「その?」
「…ちゃんとした返事なのに…ネ…と」
「だろう!何でかな?」
石川の『未だ、理解不可能』と言わんばかりの反応に岩瀬は脱力する…



(悠さん…お父さんが正解かと…。
 綺麗な奥さんとカワイイ息子。に『このヤロー』って言われるのは… 切ないな…
 でも、なんとなく悠さんのルーツが明らかに… そんなトコまで“母親似”にならなくても…)



奥さんと息子、そしてお父さん―和やかな食事時。
一見微笑ましい光景だが… 
『ゴチソウサマ』の後には『このヤロー』って… 絶対オカシイって!
いや、正確には『よろしゅうに』なんだけど…でも!!

そんな石川家の食卓を思い浮かべた岩瀬は、切なくなる―
そして、岩瀬は石川の亡き父親の苦労をチョットだけ理解し。

―悠さんのご両親… あなた方の息子さんはこんなにも、ご両親にソックリです―

と、心の中で報告してみた…とか?


                                                    05.04 UP

アトガキトーク(もしくは言い訳。)

えっと…スミマセンスミマセン…
ハナコ様のリクは『天然悠さんに振り回される周りの人々』だったのですが…
激しく外れてる…! 『天然石川親子に振り回される岩瀬』になってる… 
と、思ったり…(滝汗)←だったらUPするな。
ハナコ様へ。
返品可。なので… バシバシ駄目だしをば。お願いします!

そして書き逃げ。ダッーシュ!!(笑)