寝言?



珍しく俺のほうが早く起きた朝のこと―


「…悠さん…アレ美味しかったですね…」

起き抜けに基寿がとても幸せそうにそう言った。

「おはよう。…って、『アレ』…?」

…何が美味しかったのかサッパリ思い出せない…
というか、起き抜けにどうしたんだろう?

「うん。あのパン…アレですよ…」
「パン……??」
「そうです。」

やっぱり全然記憶にない…一体何時食べたパンだ!?

「…基寿…サッパリ思い出せないんだが…?」
「…あのサツマイモが入ってるヤツですよ…」
「サツマイモ…?」
「そうです。アレですよ…」
「アレって言われても…」

やっぱり分からない…。

「基寿…サッパリ思い出せない…何時食べたヤツだ?」
「ん…?何時って…夕べ食べましたよ…」
「夕べ!?」

おかしい…夕べは『ご飯』だったはず…『パン』は口にしていない…
基寿はボンヤリと考え込み…

「!スミマセン!今のは忘れてください!!」
「は??忘れろって!?何でだ?」
「いいですから!忘れてください!!」
「基寿?」
「お願いですから!!」

そう言って基寿は真っ赤になってゆく…
どうしたんだ?突然…。
俺の疑問が顔に出たのか基寿はしばらく考えてそして…

「えとですね…夕べの夢で悠さんとスッゴク美味しい『サツマイモのパン』を食べてたんです…」
「夢!?…そんなに美味しかったのか?」
「えぇ!!スッゴク美味しかったです!!」

基寿が力説するほどの『パン』って…どれだけ美味しかったのか興味があるが…それよりも。
俺はクスリと笑って―

「基寿でも寝ぼけることがあるんだな。…可愛かったぞ?」

『可愛い』と言われた基寿は困ったように笑いながら…

「これが『可愛い』ですか…?」
「凄く。普段では見れないし?」
「悠さんのそばだからですよ。」

そう言って基寿は俺を抱きしめて…ボソッとこう言った。

「でも『可愛い』は勘弁してください…」
「くっくっく…何時も俺に言ってるのに?」
「はるかさんは『可愛い』ですから!!」
「俺には十分『可愛い』けどな…」

そう答えた俺を照れくさそうに見ながら基寿は…

「それって褒め言葉ですか?」
「うん。褒め言葉。」

と言ってお互いにクスクス笑う。


そんな休日の朝だった―
                                                      Fin

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アトガキ。(という名のいい訳トーク。)

…可愛い岩瀬…どうですか?
たまには岩瀬でも寝ぼけて欲しいと。(笑)
まぁ、悠さんだけの『特権』でしょうが…
ヤツは十分可愛いですよね!? そう思っているから
『カッコイイ岩瀬』が書けないんでしょうか…?(苦笑)


                                                            06.01.10