一倉様の所【Gray-Spece様】で強奪してきた紫乃さんデッス!
う!美しい〜〜vv こんな風に微笑まれたら…即ダウンですよねっっ☆

そしてお話は日記でUPしていたのをサルベージ。
イラストの雰囲気を壊してないことを祈りつつ…



                        【幸せの言葉】


   「紫乃ーー!!」

   遠くで手を振るのは、姉の紫茉。
   その自分とそっくりな顔立ちの彼女に紫乃は微笑んで手を振り返す。

   「ごめん!紫乃!!遅くなっちゃったね」
   「ううん…そんなに待ってないから…」

   慌てて来たのであろう紫茉に水を差し出し、紫乃はゆるく首を振って答えた。
   そう。
   自分が紫茉との待ち合わせ場所である、オープンカフェに到着したのはつい先ほど。
   それまでは…恋人である西脇とずっと一緒だった―
   昨夜から。

      * * *

   『紫乃…お誕生日おめでとう…』

   そう言って、微笑みながら渡されたのは甘いキスと、熱い夜。
   そして胸元にそっと隠れるペアリング―

   『普段でも付けてくれると嬉しいけど…二人だけの秘密もいいよね…』

   そして指輪を通すチェーンを出して紫乃の首へと付けられたネックレスは、直ぐに熱と馴染んで
   紫乃に幸せを感じさせてくれる―
   
   『やっぱり似合うね』
   『巽さん…は?』
   『俺?俺のは…紫乃がつけてくれる?』

   と言って笑う西脇は普段とは全く違う幼い顔だった。
   それは自分にだけ見せてくれる顔で…紫乃はその表情が大好きだった。
   何もかもお揃いのリングとチェーン。
   当たり前だけど、当たり前じゃない物。
   それを西脇が自分のために選んでくれた―その事が何より嬉しい…
   そして紫乃は西脇への首へと腕を回し、お揃いのネックレスをつけた。

   『紫乃…これからも一緒に…』
   『はい…』

   回された腕の強さに、そして西脇の思いに、紫乃は嬉しくて泣きそうになっていた―

      * * *

   その事を思い出して、紫乃はうっすらと顔を赤くする…
   そんな紫乃を見て紫茉は。

   「あ。紫乃…西脇さんの事思い出してるでしょ?」
   「え?」
   「…幸せイッパイです!って…顔に書いてある」
   「えぇ…?」

   そんな訳ないのだが。紫乃は思わず自分の顔に手を当てる…
   そして困惑気味に紫茉へとたずねた―

   「…解る…のかな…」
   「解るわよ!紫乃が嬉しいと私も嬉しいし!紫乃が悲しいと私も悲しいんだから!!」
   「…そっか…」
   「そうよ!紫乃だってそうでしょう?」
   「…うん」

   双子という不思議な繋がりを思い出しながら紫乃は頷く。そして―

   「紫茉…今、嬉しい?」
   「紫乃?」
   「…今。紫茉は嬉しいのかな…って思って」
   「…それは『今』紫乃が嬉しいって事?」
   「うん…」

   紫茉は少しだけ眼を伏せて、考える。そしてニコッと笑って―

   「勿論!嬉しいし、楽しいわ!」
   「本当に?」
   「本当に。」
   「そっか…」

   そう呟いて微笑む、とても可愛らしい弟の表情に、紫茉は思わず笑い出した。

   「紫乃!本当に可愛いわね!!」
   「紫茉!?」

   爆笑する紫茉に更なる困惑顔で紫乃は姉の名前を呼ぶ。
   そんな紫乃に紫茉は―

   「ゴチソウサマ!…ねぇ紫乃…来年の誕生日は西脇さんと二人っきりでお祝いしたいでしょ?」
   「紫茉?」
   「可愛い紫乃の為だしね!ここは私が一肌脱ぎましょう!」
   「紫茉…でも私は紫茉と一緒にお祝いするのも楽しみにしてるんだよ?」
   「紫乃…」
   「だから…三人で一緒にお祝いしようよ」
   「…それは私に『ずーーっとあてられっぱなし』でいろ…って事?」
   「紫茉///」

   茶目っ気タップリで笑う紫茉に、紫乃は頬を染めながら軽く睨む。
   そんな紫乃に、紫茉は笑って―

   「あはは!解ってるわよ!冗談だから。そんなに怒らないで?」
   「紫茉…」
   「じゃあ、三人でご飯を食べに行きますか!」
   「三人?」

   立ち上がった紫茉を見上げて、紫乃は不思議そうな顔をする。

   「西脇さん。すぐソコまで来てるって。」
   「え?」
   「ふふふ…私からの今年のプレゼントは『西脇さん』!実は昨日から予定立ててたんだ!驚いた?」
   「紫茉…」
   「さー!行くわよ!紫乃!!」

   驚いて行動に移せない紫乃の手をとり、紫茉はカフェをでて大通りを歩き始める―

   「西脇さんが来るまで、ちょっと恋人気分」
   「何言ってるの…」
   「いいじゃん。減るもんでもないし。」
   「そう意味じゃ…」

   クスクスと笑って腕を繋ぐ紫茉に紫乃は苦笑する。

   「まぁ、いいか」

   クスクスと笑い会う双子は西脇が現れるまで、腕を繋いだままであった―

   そして。
   紫茉は自分の冗談が冗談でない事を知る。
   食事の間、二人のさり気ないラブラブっぷりを見せ付けられ…

   「ホント!来年は彼氏作るから!!!」

   高らかに宣言したとかしないとか。



   Fin                                         2007.02.08UP