「…悠さん、まだかな…?」
先ほどから。岩瀬はソワソワと落ち着きなく、携帯を出しては確認。を繰り返している―
理由は一つ。
愛しい恋人である石川悠と待ち合わせをしているのだが…
今日は岩瀬の誕生日。
なので『偶には待ち合わせをして出かけよう。』と誘われ、こうして待ち合わせることになったのだが…
何故か時間もキッチリ決められ。そして場所までも指定付き…
よくは解らないが、それでも、石川の嬉しそうな顔を見るのが好きだから―
岩瀬は言われるままに。指定された場所に、待ち合わせ時間数十分前にきている…
「悠さ〜ん…未だですか…?」
待ち合わせ時間まで、あと数分― でも岩瀬にとっては物凄く長い数分間。
何時になく。ドキドキと待っていると…
ピリピリピリ♪
着信を告げる携帯電話。
そして画面には― 石川悠の名前。
「もしもし!悠さん」
「Happy Birthiday!! 基寿」
電話越しの声と、現実に聞こえる声が同時にし―
岩瀬の目の前には嬉しそうに微笑む石川の姿があった。
「おめでとう!基寿!!」
もう一度。
お祝いの言葉を紡いだ唇を、岩瀬が素早く掠め取ったのは。云うまでもなく…
Fin.