- calling -
何時も心の中で呼んでいる。お前の事を―
「お疲れ様でした!」
「お疲れ。じゃあ、先に上がらせてもらうから」
「「「はい、お疲れ様でした」」」
今日も一日。無事に業務を終え、部屋へとたどり着く。
部屋へと入るなり、岩瀬に抱きしめられて、キスをする―
「お疲れ様です。悠さん…」
「お疲れ。基寿…今日も有り難う…」
「いえ…そんな…」
「今日も何事もなく済んでよかった…」
「そうですね!…そういえば、悠さん…」
「なんだ?」
「今日ですが…俺の事呼んでました?」
「え…?」
「えっと…言葉に出してではないんですが…なんだか悠さんに呼ばれてるような気がしてたんですよ…」
そう言って、嬉しそうに微笑む岩瀬に石川は絶句する…
『聞こえて…!? いや、そんな筈はないだろう…だって…心の中でしか、呼んでないし…』
そう。石川は心の中で岩瀬を呼んでいた。
―仕事中の真剣な横顔を見て。
アレク達と笑って話しているのを見て。
背後を走る気配を感じて。
周りに注意を向ける後姿を見て。
時に真剣に。時におどけた表情を見せる岩瀬をズット呼んでいたのだ。
― オレニキヅイテ ― と…
岩瀬はソレをしっかりと受け取っていたのか…?
まさか…!!
そんな石川の表情を正確に読み取った岩瀬は、破顔し―
「悠さん…vvv」
ギュウギュウと強く抱きしめる。
「苦しいって!」
「だって。悠さんが仕事中に俺の事を考えてくれてるなんて…!幸せ過ぎデス!!」
「だから。そんな事は…」
「ナイなんて言わせませんよ!実際、俺は貴方の声を感じていたのだから…」
「基寿…」
「これからも、もっと呼んでくださいねvv俺は必ず貴方の元へと駆けつけますから…!!」
「…うん…ありがとう…基寿…」
そう言って、石川は綺麗な微笑を浮かべた―
呼べば気付いてくれる、基寿なら。
何時でも。何処でも。俺の隣を歩めるのはお前だけだから…。
だから、これから先も、俺が呼ぶ名前は一つだけ。
基寿。と ―
06.07.08 UP
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