真冬のパンセ



今年の冬は一段と寒く―窓の外は木枯らしが吹いていた。

「寒そうですね・・・」
「あぁ・・・外警は大変だな」
「本当ですね」

石川と岩瀬は小休憩の為、ベンターコーナーへと立ち寄っていた。
そこへタカタカと足音軽くやって来たのはDGのマスコット犬であるダグで―
石川を目指して走り寄って来る。

「ダグ!また逃げ出したのか?」
「ワン!」

まるで石川の言葉が解っているかのように元気よく吠える姿は可愛らしいが・・・
石川はダグを抱き上げ、困ったように微笑んだ。

「ダグ・・・おとなしくしていないと怪我するぞ?」
「ワンワン!」
「・・・解ってるのか?」
「ワン!」
「・・・ぷっくっくっく・・・」
「岩瀬?」
「すみません・・・可愛くてつい・・・」

石川とダグの掛け合い(?)を微笑ましく見ていた岩瀬だが。余りの可愛さに思わず笑ってしまった―
そんな、肩を震わせ笑いを堪えている岩瀬をジロリと見上げ、石川は少し不機嫌な声を出す。

「可愛いって言うな。それに―」
「はい、仕事中でしたね・・・スミマセン」
「・・・・・・」
「でも・・・ダグ?お前もあんまり脱走ばっかりして皆に心配かけるなよ?」
「ワン!!」
「本当に解ってるのか?」

石川と岩瀬に注意され、解っているよ!と言わんばかりに吠えるダグを抱きしめた石川はダグの首に光る真新しいペットタグに気が付いた。

「ダグ?プレゼントか?」
「あぁ・・・それは議事堂で働いている女性陣からダグへのクリスマスプレゼントですよ」
「クリスマスプレゼント・・・」
「えぇ。一足早く休暇に入るからといってこの間、有吉達が受け取ってました」
「そうか・・・よかったなダグ。」
「ワンワン!!」

ダグも嬉しそうに吠えて、どこか自慢そうだ―
そんなダグに微笑んで。石川はダグを下へと降ろした。そして・・・

「さぁ、仕事に戻らないと・・・」
「そうですね・・・ダグはメディカルルームへ連れて行きますか?」
「そうだな・・・一番近いところはDrの所か・・・ダグ、一緒に行くか?」
「ワン!!」
「じゃあ、Drの所でおとなしくしているんだぞ?」
「ワン」
「じゃあ、行きますか」
「あぁ」

石川と岩瀬はダグを連れてメディカルルームへと足を運ぶ。
その途中、石川は岩瀬を見上げ、そっと呟く―

「岩瀬・・・クリスマス、何処かへ行こうか?」
「え・・・いいんですか?」
「うん・・・今年は篠井もいるから去年ほど忙しくないだろう・・・だから―」
「はい・・・」
「何処へ行きたいかは、岩瀬が決めてくれ」
「はい」

そっと微笑む石川に岩瀬も微笑み返し―そっと指先だけで触れ合う。
それだけで、寒さも何処かへ飛んでいくようで・・・
メディカルルームへつくまで、そっと触れ合っていた―



クリスマスまであと13日―





2006.12.12 UP