ベットへと横たえられた石川の体からは、風呂上り特有の香りがして―
「悠さん、いい匂い…」
「…基寿…お前は風呂まだだったろう?入ってこいよ…」
「えぇぇぇ!!そんな殺生な!!」
「・・・・・」
果てしなく情けない表情で抗議してくる岩瀬に石川は思わず笑い出す。
「…くっくっく…あはは!」
「悠さん…」
「お前…とても、皆には見せれないな!その姿」
「いいんです!悠さん以外の前では見せませんから!」
「基寿…」
「どうしても、風呂に入れというならば… 一緒に入りましょう?」
「もう一回?」
「もう一回。」
“ダメですか?”と目で訴える恋人に、石川は弱い…
ソレを知ってか知らずか。岩瀬は更に追い討ちをかけた―
「悠さん」
岩瀬の声は、まるで甘い媚薬のようで…
耳元に囁かれるだけで、石川の体も心も蕩けさす。
「…いいよ…」
石川はそう言うだけで精一杯で… 真っ赤になりながら、そっと答えた。
嬉しそうに笑った岩瀬は石川を軽々と抱え上げ、バスへと向かう―
- チャプ -
広い湯舟の中でお互いが向き合うように座り、甘い口付けを交わす。
最初は軽く。その次は下唇を噛む様に… そして段々深いものへと…
「…ふっ…ん」
漏れた吐息は切なげで…
濡れた瞳はもっと。と強請っているようで… 岩瀬はそんな石川に見惚れる。
「基寿…?」
「…悠さん… 大好き」
「…うん… 俺も…」
そこで、二人見合わせて… ギュッと抱きしめた。
「悠さんのココ、もうこんなになってる…」
「はぁっ… 基寿だって…」
互いに中心を握り、快感を与えていく…
緩急をつけた手淫に二人は息が上がっていく。
「…ふっ…ん もうっ…!」
「…いってイイですよ…?」
「あ…ぁっ…」
「…くっ…」
二人同時に果てる。と…
まだ、息の乱れた石川がクスッと笑った。
「…悠さん…?」
「ん… なに?」
「何か可笑しかったですか?」
「いや… こういうの久しぶりだな…って…」
「…随分、余裕ですね…」
「えっ…そんなことは…」
「まだまだ、夜は長いですから!」
「も・基寿…!?」
岩瀬は言うが早いか…
石川の足をバスタブの淵にかけ、先ほど放ったばかりの中心へと手を回す。
もう片手は最奥へと伸ばされ… ゆっくりと進入してきた。
「あっ…」
指と共にお湯が入り込み… 不思議な感覚を促す―
石川は羞恥と突然の挿入に戸惑い、岩瀬にしがみ付く…
岩瀬はそんな石川を愛おしく思いながら…
「悠さん…苦しくないですか?」
「ばっ… あっんんん… 苦しいに…きまって…」
石川はイヤイヤと首を振りながらも、しがみ付く腕を緩めない。
岩瀬はそっと手を離し、石川の顔を自らの方へ向ける。
「悠さん… 愛してます」
「ん… 俺もっ…」
惹かれるように口付けを交わし、深く強く絡め取る。
「…もう…やめっ…」
「悠さん…」
悪戯な岩瀬の唇は、石川の胸の頂へと降りていき…甘く噛まれる。
「やっ…あぁっ…」
暫くソコで遊んでいた岩瀬は、チュッとキスを残して…
石川の唇へと戻ってくる―
口腔内を舌で深く犯され、自身の中心は岩瀬の手の中。
そして最奥は指で開かれていく…
石川は三方向から攻められ、オカシクなりそうだ…
「あっ… もとひさ… 早くっ…」
潤んだ瞳で強請られて、岩瀬は自分の中心が熱くなるのを感じた…
「悠…」
岩瀬は一気に石川の中へと埋め込み―
「あぁぁ…っっ…」
いきなり、質量の違う物を入れられ苦しくなる… が…
岩瀬から宥めるようなキスをされ、強張っていた体が解れて来る。
「悠さん… 動きますよ…」
岩瀬はゆっくりと動き出し… 石川の弱いところを突いてくる…
「はぁっ…あぁ… ん…」
石川は足を岩瀬に絡め、自らも快楽を追うように腰をくねらせる。
次第に激しくなる挿入にお湯が跳ね―
「悠さん…」
「あぁぁ…もとひさ… 」
「くっ…」
「あぁぁぁ…」
同時に果て、ぐったりとした石川の体を抱きしめて。
「愛しています…悠」
岩瀬は意識のない恋人にキスをした。
++ ++ ++
石川が眼を覚ますと、岩瀬の腕の中だった。
「起きましたか?」
岩瀬が優しく微笑んで見ている―
「基寿…」
先ほど、散々喘いだので声が枯れている…
その事に気付いた石川は羞恥で真っ赤になる。
その様子を見た岩瀬は…
「お水、飲みますか?」
そう言って、自分が一口含み―石川へと唇を重ねた。
岩瀬から受け取った水は、まだ冷たくて。
ほぅ…と溜め息が出た。
「ゴメンナサイ… 無理させたみたいで…」
「大丈夫だって…」
急にしおらしくなった岩瀬を石川は抱きしめて…
「俺も愛してるよ…基寿」
意識を手放す寸前に聞いた恋人の言葉に返事をした。
「悠さん…聞いて…?」
「あぁ。おぼろげだけど…」
「…どうしよう…凄く嬉しいです…」
「そんなに喜んで貰えると、なんだか恥ずかしいんだけど…」
そこで、見合わせた二人は、自然と唇を重ねた―
「さあ、明日も早いし…寝よっか?」
「はい。」
「基寿…このままで…」
「え…?」
「お前の腕も好きなんだ…安心できる…」
「は・はるかさん…?」
「おやすみ…」
最後の一言は既に寝入る間際で―
腕の中の恋人はスヤスヤと寝入っている。
「悠さん… そんな殺生な…」
爆弾を落とされた岩瀬がナカナカ寝つけなかったのは、言うまでも無く。
翌日、盛大に目の下の隈と欠伸に悩まされた岩瀬であった…
06.06.5 UP