「隊長、E国の王太子が5分後に到着します」
「了解。直ぐに行く」
「総理、到着します」
「了解」

石川はそこで無線を切り替え―

「全員、気を引き締めろ!常に周囲を警戒。小さな変化も見落とすな!気になった事は即、班長に報告」
「「はい」」
「即行!!」
「「はいっ」」

隊全体に激を飛ばし、ふぅ・・・と。一息ついた石川に、岩瀬は・・・

「ここからが正念場ですね」
「あぁ。テロの標的としては最高だからな・・・だが」
「はい。JDGなら大丈夫ですよ!」
「あぁ。・・・岩瀬、頼んだぞ」
「任せてください」

石川の緊張を解すかのような岩瀬の微笑みに、石川は余計な力が抜ける・・・
岩瀬の細やかな気配りに クスリ と笑って―

「行くぞ」
「はい」

石川と岩瀬は正面ロビーへと向かった。



   + + +



正面ロビーには国内外のプレス関係者でごった返していた―

「プレスチェックは?」
「今のところ不審者はいません」
「引き続き警戒を。総理のSPと連絡は?」
「大丈夫です。王太子のSPとも連絡済です」
「今から総理・王太子が会談室に入るまで、回線をオープンにする。周波数を合わせろ」
「はい」
「各班。状況を」
「Nゲート 異常ナシです」
「Eゲート 異常ありません」
「Sゲート 異常ありません」
「Wゲート 異常ナシです」
「室班A 異常なし…B・C・D共に異常ありません」
「中央管理、現状は?」
「今のところ異常ありません」
「了解。篠井…」
「はい、配置についてます。此方も異常ありません」
「了解、先頭を頼む。」
「了解」
「…隊長、総理・王太子が到着しました」
「全員!気を引き締めろ!!」
「「はい」」

総理が王太子を出迎えると同時に記者達のカメラが閃光を放つ。
フラッシュの嵐の中。総理と王太子は握手を交わし、議事堂内へと歩き出した・・・

篠井を先頭に総理・王太子、そして最後尾を石川が警護する列が移動を開始する―

「予定時刻を30秒オーバー。総理と王太子が入室します」
「了解。篠井はそのまま入り口に待機」
「了解」
「全隊員。これから総理が約2時間の会談に入る。室班、表のプレスを誘導開始。外警はそのまま通常警備に。その他の隊員は手の空いていう者から室管理の手伝いを!」
「了解しました」
「各班、即行!」
「「はいっ」」

これまでの所、異常もなく無事に進んでいる―

「予定通りですね」
「あぁ…だが、これからだ」
「はい」
「一度、中央管理に戻る。行くぞ岩瀬」
「はい」

石川と岩瀬は足早にセンターへと戻っていった。


懸念していたテロ行為もなく、無事に会談も終了し。
総理・王太子の乗った車は議事堂を後にした―



    + + +



その日の夜―

遅い夕食をとっていた石川と岩瀬の元にアレクが一緒になり・・・

「や。隊長!岩瀬。お疲れ様でした」
「お疲れ様。アレク・・・また残業か?」

石川に軽く睨まれたアレクは『そんな事ないですよぅ・・・』と、焦りながら岩瀬へと話題をそらす・・・

「そういえば、岩瀬。王太子のSPに見知った顔があったろ?」
「あぁ。イズミか・・・久しぶりに見たと思ったら、一国の太子付きとはね!」
「知り合いなのか?」

石川が岩瀬に聞くと ―

「はい。ロスの養成所の同期なんです。・・・たまに同じ班になったりとかしてました」
「そうだねー。イズミは見た目が華奢な方なんですが、かなり面白いヤツで・・・」
「そうそう!ああ見えて、凄くノリもよくって!イベント事では一緒に悪ふざけとかもやってました」
「ふーん・・・」
「でも・・・」
「どうかしたのか?」
「いえ・・・数年ぶりに会ったんですが、カンジが変わったというか・・・」
「いやー。岩瀬ほどじゃないよ!」
「あはは。」
「アレク!!」

アレクの混ぜっ返しに、石川は笑い。岩瀬は容赦ない蹴りをアレクへと入れる。

「痛いデショ!岩瀬!!」
「余計なこと言うからだ!」
「なにおぅ!!」

岩瀬とアレクの掛け合いに、石川は笑っていて・・・


一日目はこうして、何事もなく終了した―




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